研究課題:多様性共存に関する統合学際型日本研究
研究の概要
本研究は、人文社会科学と自然科学を統合した新しい日本研究の一領域の確立を目指すものである。日本の人文社会科学の理論的前提としてある状況先行型の柔軟性に着眼し、一元的な価値観の問い直しをすることにより、多元的な価値観を受容してきた日本の学問の魅力を発信できる「統合学際型日本研究拠点」を創出することを目的とする。
大学のグローバル化の必要性が叫ばれて久しいが、日本の大学の人文社会科学系の研究は、自然科学系に比べて留学生を引き付ける力が弱いとしばしば言われている。こうした状況は日本だけでなく、韓国など他のアジア地域においても同様で、グローバル的な課題の解決のためには文理融合の方法論のもとに、海外の日本研究機関とも連携しつつ課題解決に取り組んでいく必要がある。
本研究プロジェクトでは、比文・日本研究プロジェクト:「知の中継地としての日本に関する総合的研究―『知の加工学』の創成に向けて―」(平成21年度~22年度P&P採択課題:研究代表者・松永典子)以降、他から輸入した「知」の二次的加工・活用に秀でている日本型「知の加工」の事例を収集し、基礎研究を積み重ねるとともに、日本型「知の技法」の特徴の理論化及び研究の大学院教育への還元を進めてきた。知識の加工・翻訳のプロセスにおいては、文化の受容、葛藤の問題が生じるのが常であり、ここに多様性共存のための方法論を検討していく意義がある。